東京五輪から採用される新競技のサーフィン。スケードボードやスノーボードと同じ「ヨコノリ」系の採点競技で、波を相手に繰り出されるダイナミックな技の競演が楽しみのスポーツです。
地元の日本の選手の活躍はもちろんのこと、世界のトップサーファーの美技に酔いしれましょう!
今回は7月26日(日)から4日間に渡って開催されるサーフィンの
- 大会日程・スケジュール
- 試合会場
- 見どころ
- 注目の選手
など詳しくわかりやすく紹介します。
サーフィンの試合会場と大会日程・スケジュール
日程 | 時間 | 男女 |
7月26日(日) | 7:00~16:20 | 予選 |
7月27日(月) | 7:00~17:40 | 予選 |
7月28日(火) | 7:00~15:00 | 準々決勝・準決勝 |
7月29日(水) | 8:00~13:00 | 3位決定戦・決勝 |
予備日:7月30日(木)~8月2日(日)
男女とも同じ日程になります。ただし、波の状態や天候で日程変更の可能性があり、その場合競技は7月26日(日)~8月2日(日)のいずれかで実施予定です。
競技会場・釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ
千葉の長生郡一宮町にある千葉・九十九里浜の釣ヶ崎海岸は世界的に有名なサーフィンの聖地で良質な波を求め多くのサーファーが訪れます。
ほぼ一年中、波に乗れない日はないというポイントで、わざわざここに移住してくるサーファーもいるとか。国際大会もたびたび開催される会場です。
ぜひ動画でオリンピックの会場をご確認ください。
アクセス:JR外房線「上総一宮駅」より、シャトルバスに乗車
サーフィンの大会のルールや見どころ
古代のポリネシアンが愛したハワイで育ったマリンスポーツがサーフィンです。サーフボードを操って波に乗り、ライディングテクニックを競う競技はストックホルム、アントワープの五輪で水泳の金メダルを獲得したデューク・カハナモク(アメリカの近代サーフィンの父)によって世界に広まりました。
東京五輪では1970年前後に登場した細かいターンがしやすい「ショートボード」を使って行われます。
競技の基本ルール
日本での愛好家の多いサーフィンは競技としては波を乗りこなすテクニックをジャッジが採点します。「難易度が高くて創造的な技だったか」「スピードがあってダイナミックだったか」などが評価されます。
具体的には
- 積極性・難易度の高さ
- 新たな技に挑戦しているか
- 複数の技が途切れずにつながっているか
- 技の豊かさ
- パワーやスピード
この5項目を複数の審査員が10点満点で採点します。審査員が5人の場合、最上位と最下位を除いた3人の平均点が得点となります。
選手は時間内に10本前後のライディングを行い、評価が高かった2本の合計によって得点が決定します。男女20人ずつでメダルを争います。
基本技術
波に乗る(ライディング)基本技術は波の最上部(リップ)でボードの向きを変える「トップリターン」です。リップでボードを鋭く返す「スナップ」では、より多くのしぶき(スプレー)を出すことが高得点につなります。
同じくリップで立体的な曲線を描く「カービングリータン」、後ろ足でボードを波に押し付けるようにしてより大きなスプレーを出す「レイバック」などもあり、選手たちは波の崩れ方を予想しながら複数の技を組み合わせていきます。
大波の中にトンネルのようにできる空洞を抜ける「チューブ」、スピードをつけて波から空中に飛び出す「エアー」といった大技もあります。
4メンヒートとは?
多くの国際大会では4人ずつで競技を行って2人が勝ち抜く「4メンヒート」が採用されています。波の状態によって異なるものの、1ヒート(試合)の長さは20~30分程度で、その制限時間内なら何本でもライディングが可能です。に各選手は10本程度ずつ波に乗ります。
決勝や準決勝は1対1の対戦になる予定です。
優先権(プライオリティ)とは?
複数人で行われるヒートの場合、1つの波に乗れるのは1人だけです。崩れる直前の波の頂上(ピーク)に最も近い人が、その波に乗れる権利があります。これが「優先権」です。いい波に乗るためには、これを取れる位置を確保することが絶対に必要です。
優先権を持った選手が乗ろうとした波に優先権を持たない選手が乗るとインターフェア(妨害)行為となり、2度行うと失格となります。
優先権を持った選手はじっくりと良い波を待つことができ、他の選手は少し離れた場所で別の波を待つといった展開になることもあります。
競技中はマイクを通じて最新の得点状況が伝えられるため、終盤になると下位選手が一発逆転を狙って大技に挑んだり、優先権を持つ上位選手が逃げ切りのために下位選手のポジションに近づいて良い波に乗せなかったりといった戦略的な動きも見られます。
ショートボードとロングボードとの違い
東京五輪ではショートボードのみですが、ショートボードは長さ5~6フィート(約150㎝~180㎝)です。より古くから親しまれているロングボードは長さ9フィート(約274㎝)以上です。
競技の見どころ
サーフィンが行われるのはもちろん自然の海の上で、波の状態や風の強さ、向きなどは一定でないため、いかにいい波をつかむか、そこにどのタイミングで乗るかが重要になってきます。きまぐれな自然をいかに味方につかるかがサーフィンでは大きなポイントで、選手たちの真の実力が発揮される瞬間と言えます。
また自然を味方に付けるだけではなく、先程紹介した「優先権」を得る争いなど他の選手との駆け引きもサーフィンでは行われます。
- 波に乗らないふりをしていたのに実際は乗る
- パドリング(両手で水をかいて全身すること)をしようとして行かない
など他の選手を巧みに欺いて翻弄することも時には重要になります。
サーフィンフェスティバルを楽しもう
五輪日本代表選考の条件と注目の選手!
東京五輪の出場選手は男女各20人。各国から最大2人まで出場が可能で、日本は男女1人ずつの開催国枠が与えられています。(男子は開催国枠が無くても出場ができるため枠の使用はしない)
2020年1月時点で既に日本人の五輪代表が4名のうち3名が内定されています。
男子
- 村上舜
- 五十嵐カノア
女子
- 松田詩野
ただし、これは代表決定ではなく、あくまでも内定です。
その理由は選出方法には優先順位があって、今年開催のワールドサーフィンゲームス(WSG)の成績が優先されるためです。
現在、日本男子は、CT(チャンピオンシップツアー)枠から代表入りの可能性が高い五十嵐カノア選手もう1枠がアジア枠で獲得した村上舜選手の2名です。
ですが、2020年の大会で村上選手以外の選手が上位4名に入れば、その選手が代表になります。
一方、女子は日本人CT選手がいないので、CT枠はありません。現在は日本が獲得したアジア枠の1枠に松田詩野選手が入りました。
各国2名の出場枠を獲得するためには、2020年大会で上位6名に入れば、その選手が代表になれます。もし、松田選手以外の2名がこの上位6名に入った場合、その2名がオリンピック出場なります。
そのため、村上、松田選手以外の選手がオリンピックに出場するためには、オリンピック前に開催される2020年のワールドサーフィンゲームスに出場しなければなりません。
五十嵐カノア
ワールドランキング日本人最高位で日本人の中で一番メダルに近いと言われている五十嵐カノア選手。
1997年、アメリカのカリフォルニア州生まれ。父親もサーファーの五十嵐勉で、「カノア」という名前の由来はハワイ語で「自由」という意味です。
父親の影響で3歳でサーフィンを始め、6歳でローカルコンテスト「Kids For Clean Waves」で優勝するなど小さい頃から注目されていました。
登録籍をアメリカから日本へ
両親は日本人ですが、米国で生活していた五十嵐選手は日米両方の国籍を持ち、東京五輪に向けてどちらの国で出場するのかが一時話題となりました。
結局2017年12月25日にカノア選手は都内で会見を開き「日本代表として五輪に出たい」と語り、2018年2月12日、CT(チャンピオンシップツアー)3年目のシーズンが始まる前にWSL(ワールドサーフリーグ)での登録籍をアメリカから日本へ変更したことを発表します。
最近の実績は昨年5月に開催されたCT第3戦(インドネシア・バリ島)で初優勝を飾り、WSLのCTランキングを一時2位まで上昇させました。
また、10月に開催されたCT第10戦「MEO リップカールプロ ポルトガル」で3位となり2020年東京五輪の出場権獲得が発表されました。
結局2019年の最終順位は6位でしたが、CTランキング50位以内に入ったのは日本人でカノア選手だけです。
五輪出場選考イベントの中で、一番優先度の高いWSLの2019年CTランキングから選出されたカノア選手は現時点で内定ではありますが、確定と言っても良いでしょう。
こちらはカノウ選手の実際にサーフィンをしている動画です。
本当に神業連発でしたね。日本で一番メダルに近いカノア選手の活躍を期待しましょう。
松田詩野
現在日本人女性で唯一五輪内定を獲得しているのが松田詩野選手。現役女子高生サーファーとしても注目されています。
2002年8月13日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。自宅が海岸に近く、両親がロングボードやボディボードをやっていたこともあって、詩野選手も自然とサーフィンをやるようになったそうです。
13歳で日本プロサーフィン連盟(JPSA)公認プロ資格を取得し、多くの大会で優秀な成績を収めてきました。
2017年はWSL JAPAN ウイメンズジュニア年間チャンピオンに輝き、2017年、2018年共にワールドサーフリーグランキングアジア女子部門で2年連続1位となりました。
そして「2019 ISA ワールドサーフィンゲームス」(宮崎県宮崎市・木崎浜海岸)に出場し、アジア選手最高の15位となって東京オリンピック出場の内定を獲得しました。
五輪選考に関する優先順位は
- 第1優先が2019年のWSLのCTランキング
- 第2優先が2020年のワールドサ ーフィンゲームス(WSG)
- 第3優先が2019年のワールドサ ーフィンゲームス
となり、第1優先で選ばれたのが五十嵐カノア選手なので、ほぼ五輪出場を獲得したと言って良いですが、松田誌野選手は現在第3優先なので、2020年のWSGの結果により最終的に決定します。
サーフィンの技術はもちろんのこと、笑顔が素敵でかわいいと話題の松田詩野選手は芸能プロダクションのサンミュージックにマネジメントを委託しています。
若いので短期間で急激に伸びる可能性もあり、東京五輪の活躍次第では大ブレイクするかもしれませんので今から注目してみましょう。
海外の有力選手が見られない可能性も
各国最大で2名までの出場という条件のため、有力選手が多い国ではお目当ての選手が出場できない可能性があります。
WSL 2019 女子 CTランキング
このランキングを見ると男子はブラジルが4位までに3人の選手がいますし、アメリカ(ハワイも含む)も10位までに3人います。一方女子はアメリカが圧倒的に強く1~3位まで独占していて、10位までに5人もランクインされています。さらにオーストラリアも3人入っています。
このような状況ではお目当ての選手が代表漏れしてしまう可能性がありますが、選手層が厚い国のし烈な代表争いにも注目してみましょう。
まとめ
ダイナミックな技と駆け引きが注目の新種目サーフィンは初めて見る人には少しわかりにくいかもしれません。ですが、大会期間中(7月26日から8月2日)は「サーフィンフェスティバル」が開催されるなど、来場者を飽きさせない工夫を凝らしています。
選手同士の戦いだけではなく、自然の波を相手にしなくてはならないサーフィン。大会当日にはどのような波が来るのかも注目です。
ぜひ、世界的な有名なサーファーの技の競演や日本人選手の活躍を楽しみにしましょう!
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