東京五輪から採用される新競技のスポーツクライミング。「目の前の壁を登る」というシンプルな行為を競技にまで高めたスポーツクライミングは見る方もわかりやすく、しかも日本人のメダルの期待が高い種目です。
今回は8月4日(火)から競技がスタートするスポーツクライミングの
- 大会日程・スケジュール
- 試合会場
- 見どころ
- 注目の選手
など詳しくわかりやすく紹介します。
スポーツクライミングの試合会場と大会日程・スケジュール
スポーツクライミングは4日間の日程で行われ、男女別々にスケジュールが組まれています。8月6日(木)が男子決勝。7日(金)が女子決勝です。
日程 | 時間 | |
8月4日(火) | 17:00~22:40 | 男子予選 |
8月5日(水) | 17:00~22:40 | 女子予選 |
8月6日(木) | 17:30~22:20 | 男子決勝 |
8月7日(金) | 17:30~22:20 | 女子決勝 |
競技会場・青海アーバンスポーツパーク
複合商業施設「ダイバーシティ東京プラザ」に近く、アクセスが良好なエリアに整備されていまさす。スポーツクライミング以外にも3×3バスケットボールやパラ競技の5人制サッカーも行われます。
住所:東京都江東区青海1-1 MAP(マップ)
アクセス:ゆりかもめ「青海駅」「東京国際クルーズターミナル駅」より徒歩約10分
スポーツクライミングのルールとみどころ
こちらは女優の綾瀬はるかさんが出演している東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本をひとつにするプロジェクト「Beautiful Japan2020」のスポーツクライミング篇です。
綾瀬さんのセンスも素晴らしいですが、負けず嫌いなところが、また魅力です。
ルール
スポーツクライミングのルーツは自然の岩場での冒険的な挑戦で、その過程で競技として確立しました。日本で一般的に知られているのは「ボルダリング」ですが、東京五輪では「スピード」と「リード」を加えた3種目の総合成績で競う「複合」のみが実施されます。
スピード「壁を登る速さで勝負!」
最初に行われる種目。
高さ15mで95度に前傾した2つの壁を、安全確保用のロープを装着した2人の選手が一斉に登ってタイムを争うレースです。世界共通のスピードルートが設定されていて、瞬発力がぶつかり合う展開が見どころです。優勝のタイムラインは男子で5、6秒、女子で7、8秒とあまりの速さに驚くこと間違いなしです。
フライングは一発で失格となります。
ボルダリング「登った壁の数で勝負」
2番目に行われる種目。
高さ約4ⅿの壁に設定された高難度のコースを、4分以内にいくつ登れるかを競います。各コースともにトップのホールドを両手で保持すればクリアとなります。
事前に練習ができないので選手にとっては本番が初トライとなり、クリアまでのルートを即座に見つけられるかも勝負のカギとなります。途中で落ちた場合も再トライが可能です。
リード「壁を登った高さで勝負」
最後に行われる種目。
6分の制限時間内に高さ15ⅿ以上の壁のどの地点まで登れたかを競います。トップ(最上部)のクイックドロー(ロープを掛ける器具)にロープを掛ければ完登となります。
途中で落ちた場合はその時点での位置が記録となり、完登した選手、同じ高さまで登った選手が複数いる場合はタイムの良い選手が上位にランクされます。
順位の決定方法は3種目の順位を「掛け算」してより値の小さい選手が上位となる方式で、メダルを獲得するにはオールラウンダーとしての能力も問われます。
また事前に他の選手のクライミングを見るのは大きなメリットとなるため、リードとボルダリングでは競技の公平性を確保するべく、自分が登る前にはそれらを一切を見られないようにする「オンサイト方式」を採用しています。
見どころ
壁を登るために高い身体能力は必須ですが、同じくらい考える力が必要です。特にボルダリングではどのルートを選ぶかでクリアの可否も変わるだけに、先を読んだり体の使い方を工夫したりと、頭を休ませている暇はありません。体力、知力、判断力を駆使して壁を乗り越えた先に栄光が待っています。
また東京五輪では3種目の総合成績で競う「複合」のみが実施されるため、選手がそれぞれ得意、不得意があり、最後の種目が終わるまで結果がわからない手に汗握る競技です。
五輪日本代表選考の条件と注目の選手!
スポーツクライミングの五輪代表は男女2名ずつですが、既に男子の楢崎智亜選手と女子の野口啓代選手の内定が決まっています。となると、あと一枠ずつ空いているのですが、実は現在問題が起こっています。
実は2020年5月に開催されるジャパンカップで残る1枠ずつを決定することにしていました。ですが、日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)によれば、「男子の原田海選手と女子の野中生萌選手も代表に決定する」ということを、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が突然通告してきました。
この決定を不服としてJMSCAは記者会見を開き、IFSCを相手取って、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に2019年11月1日提訴しましたが、年が明けてもいまだ解決されていません。
楢崎智亜
ならさきともあ。1996年6月22日生まれ、栃木県宇都宮市出身。
多くの日本人がボルダリングを得意としている中、世界トップクラスを誇る男子の日本エースが楢崎選手です。
2016年、2019年のクライミング世界選手権のボルダリング種目で優勝。また複合種目でも優勝をはたし、オリンピック代表内定を決めました。また、2016年、2019年「IFSC クライミング・ワールドカップ ボルダリング種目」で年間総合優勝を果たしています。
幼少期に友人に誘われて始めた器械体操で養った柔軟性を生かしてしなやかに、強靭な上半身を使って力強くホールド(突起物)を飛び移っていきます。次々と課題をクリアしていくアクロバティックな動きは、海外選手から「忍者」と評されているほどです。
瞬発力が問われる「スピード」では世界と戦うために、通常足をかける4つ目と5つ目のホールドを飛ばして一気に6つ目のホールドをつかむ「トモアスキップ」を編み出し、タイムを一気に縮めました。
メダル獲得が有望な第一人者として活躍を期待したいところです。
野口啓代
のぐちあきよ。1989年5月30日生まれ、茨城県龍ヶ崎市出身。ボルダリングW杯で年間総合優勝に4度輝いた日本が世界に誇る屈指の女子クライマー。
小学校5年で競技と出会い、龍ヶ崎市で牧場を営んでいた父親が牛舎を改造して設置してくれた壁が練習場でした。中学2年で初出場した世界ユース選手権は日本チームの派遣がなく、父と二人でブルガリアまで行っています。
2008年に日本女子で始めてW杯優勝し、優勝賞金などを元手に大会を転戦してきました。先駆者の腕力だけに頼らないしなやかで美しい登りは現在も若手の手本に。
ボルダリングを得意としてリードの安定感もあります。実家にはスピード壁も造り、弱点の克服にも取り組んでいます。
2019 IFSC クライミング世界選手権大会の女子複合種目で野口選手は総合2位となり、オリンピックの代表内定を獲得しました。
女子では2019年シーズンのワールドカップ年間優勝者で世界選手権でも2連覇を達成したヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が強敵ですが、東京五輪を最後に現役引退を表明している野口選手の表彰台での姿を期待しましょう。
まとめ
ボルダリングが強い日本勢ですが、東京五輪ではスピード、ボルダリング、リードの3種目の複合競技となります。
現在日本は男女ともに2人目の代表をめぐって問題となっていますが、誰が代表になってもメダルが期待できます。
ぜひ、海外のライバルを破って金メダルを期待しましょう。
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